テレワーク等を行う従業員へデスクやPCなどの事務用品を支給する場合の取扱いとは!?
新型コロナウイルスの影響による勤務環境の変化により、在宅勤務のためのテレワーク・リモートワーク(以下、テレワーク等)をスポット的ではなく、恒常的に導入している会社が増えております。
それに伴い、従業員の自宅で効率的に仕事ができるよう業務に必要なデスクなどの事務用品やPCなどのOA機器を会社が用意するケースがあります。
そこで、最近お問い合わせが増えております会社がテレワーク等を行う従業員へデスクなどの事務用品やPCなどのOA機器を用意する場合の取扱いについて、解説いたします。
Ⅰ.支給方法とは
会社がテレワーク等を行う従業員へデスクなどの事務用品やPCなどのOA機器を用意する方法として、下記が想定でき、次の章以降でそれぞれの場合に区分して課税関係を整理したいと思います。
1.現物を支給する場合
2.貸し出す場合
3.従業員が購入して実費精算する場合
4.渡し切り支給の場合
Ⅱ.現物を支給する場合
会社がテレワーク等を行う従業員へ現物を支給する場合には、筆記用具やコピー用紙などの消耗品を除いて、金額が高額なものは、原則、給与課税されます。所得税から限定列挙されている非課税物品の中に、デスクなどの事務用品やPCなどのOA機器が含まれていないためです。
参考のため、所得税の規定では下記の通り定められております。
・所得税法_第9条 _非課税所得
次に掲げる所得については、所得税を課さない。
六 給与所得を有する者がその使用者から受ける金銭以外の物(経済的な利益を含む。)でその職務の性質上欠くことのできないものとして政令で定めるもの
※第9条第1号第6号以外の非課税所得は割愛しております。
・所得税法施行令_第21条 _非課税とされる職務上必要な給付
法第9条第1項第6号(非課税所得)に規定する政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
一 船員法第80条第1項(食料の支給)の規定により支給される食料その他法令の規定により無料で支給される食料
二 給与所得を有する者でその職務の性質上制服を着用すべき者がその使用者から支給される制服その他の身回品
三 前号に規定する者がその使用者から同号に規定する制服その他の身回品の貸与を受けることによる利益
四 国家公務員宿舎法(昭和24年法律第117号)第12条(無料宿舎)の規定により無料で宿舎の貸与を受けることによる利益その他給与所得を有する者でその職務の遂行上やむを得ない必要に基づき使用者から指定された場所に居住すべきものがその指定する場所に居住するために家屋の貸与を受けることによる利益
・所得税基本通達9-9_職務の遂行上やむを得ない必要に基づき貸与を受ける家屋等
令第21条第4号に規定する「職務の遂行上やむを得ない必要に基づき使用者から指定された場所に居住すべきものがその指定する場所に居住するため」に貸与を受ける家屋には、次に掲げるようなものが該当する。
(1)船舶乗組員に対し提供した船室
(2)常時交替制により昼夜作業を継続する事業場において、その作業に従事するため常時早朝又は深夜に出退勤をする使用人に対し、その作業に従事させる必要上提供した家屋又は部屋
(3)通常の勤務時間外においても勤務を要することを常例とする看護師、守衛等その職務の遂行上勤務場所を離れて居住することが困難な使用人に対し、その職務に従事させる必要上提供した家屋又は部屋
(4)次に掲げる家屋又は部屋
イ 早朝又は深夜に勤務することを常例とするホテル、旅館、牛乳販売店等の住み込みの使用人に対し提供した部屋
ロ 季節的労働に従事する期間その勤務場所に住み込む使用人に対し提供した部屋
ハ 鉱山の掘採場(これに隣接して設置されている選鉱場、製錬場その他の附属設備を含む。)に勤務する使用人に対し提供した家屋又は部屋
ニ 工場寄宿舎その他の寄宿舎で事業所等の構内又はこれに隣接する場所に設置されているものの部屋
Ⅲ.貸し出す場合
会社がテレワーク等を行う従業員へ貸し出す場合には、所有権は会社にありますので、給与課税されません。ただし、現物で支給したか否か不明にならないように貸し出し実績管理が可能な管理台帳を作成することが重要となります。
Ⅳ.従業員が購入して実費精算する場合
従業員がデスクなどの事務用品やPCなどのOA機器を購入し、実費精算する場合には、最終的に現物支給と同様であれば、上記Ⅱと同様、原則、給与課税となり、最終的に貸し出しと同様であれば、上記Ⅲと同様、給与課税となりません。
Ⅴ. 渡し切り支給の場合
会社がリモートワーク等のための環境整備という名目で現金支給をした場合には、実費精算するものではないため、給与課税となります。
Ⅵ.まとめ
会社がテレワーク等の導入に伴い、従業員へデスクなどの事務用品やPCなどのOA機器を用意するケースとして、①現物を支給する場合、②貸し出す場合、③従業員が購入して実費精算する場合、④渡し切り支給の場合が想定できます。
課税関係を判断するためには、最終的に現物又は金銭を支給するか、貸し出すかで判断することが重要となります。
また、今回解説したもののほか、リモートワーク等のためにレンタルオフィスを借りるケースもありますが、こちらは、貸出実績などにより給与課税されるか否か判断が異なります。
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