事業として使用している固定資産を売却した場合の所得区分とは

令和3年分所得税確定申告が2月16日からスタートしますが、今年開業し、令和3年分から初めて確定申告書を提出する方も多いかと思います。

そこで、最近お問い合わせがありました事業所得として申告する場合で、事業として使用している固定資産を売却したときの所得区分について、解説いたします。

Ⅰ.原則的な取扱い

固定資産を売却した場合は、原則として、下記取扱いとなります。

1.生活に通常必要で、実際に使用している固定資産を売却した場合
→所得税は課税されません。
2.事業として使用している固定資産を売却した場合
→事業所得又は譲渡所得として所得税が課税されます。

関連サイト
No.2011 課税される所得と非課税所得|国税庁 (nta.go.jp)

Ⅱ.事業所得となる場合とは

上記Ⅰ.2の事業所得となる場合とは、購入時の経理処理が下記の場合となります。

1.1単位あたり10万円未満として経費処理している場合
→購入時に経費処理しているため、売却代金は、事業収入として売上計上(事業所得)します。
2.1単位あたり20万円未満として括償却資産処理している場合
→購入から3年で経費処理しているため、売却代金は、事業収入として売上計上(事業所得)します。

Ⅲ.譲渡所得となる場合とは

上記Ⅰ.2の譲渡所得となる場合とは、購入時の経理処理が下記の場合となります。

1.青色申告承認申請書を提出(=青色申告事業者)しており、1単あたり30万円未満として経費処理している場合
→事業収入として売上計上(事業所得)ではなく、譲渡所得(総合譲渡)として申告します。
2.経費処理ではなく、固定資産として処理している場合
→事業収入として売上計上(事業所得)ではなく、譲渡所得(総合譲渡)として申告します。

Ⅳ.譲渡所得(総合譲渡)とは

譲渡所得(総合譲渡)とは、原則として、土地、建物、株式等有価証券、金地金、ゴルフ会員権以外の資産を売却して利益が発生する所得を言います。ただし、売却益が50万円までであれば、特別控除50万円の範囲内となるため、所得は発生しません。また、売却損が発生した場合は、事業所得と通算(=利益と損失を相殺)することができます。

関連サイト
No.1460 譲渡所得(土地、建物及び株式等以外の資産を譲渡したとき)|国税庁 (nta.go.jp)

Ⅴ.まとめ

個人事業主として事業を営んでいる場合、本業の売上以外に固定資産を売却し、売却益が出ることもございます。その場合は、安易に事業収入として処理するのではなく、購入時の経理処理を確認して、正しい申告をする必要がございます。

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