配偶者へ支給する給与等は、経費になるのか!?

新型コロナウイルス感染症の影響による行動制限が続く中、脱サラをして、個人事業主として開業する方もいるかと思います。

そこで、最近お問い合わせがありました配偶者へ支給する給与等の取扱いについて、解説いたします。

Ⅰ.給与や賞与の原則的な取扱い

所得税では、事業主と生計を一にする配偶者※へ支給する給与や賞与は、原則、経費になりませんその理由は、所得税の世界では、その事業において【家族は1つ=お財布は1つ】という考え方があるためです。
※生計を一にする配偶者とは、同居や別居を問わず、生活費を共有している配偶者となります。

Ⅱ. 給与や賞与の例外的な取扱い

事業主と生計を一にする配偶者へ支給する給与や賞与のうち、次のいずれかに該当する場合は、一定の金額が経費として計上することができます。

1.税務署へ青色事業専従者給与に関する届出書を提出している場合
→支給金額、年齢制限、届出書の提出期限、勤務期間など制限がありますので、注意が必要です。
2.確定申告書へ事業専従者給与を受ける旨などを記載している場合
→支給金額、年齢制限、勤務期間など制限がありますので、注意が必要です。

※関連サイト
No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除|国税庁 (nta.go.jp)
[手続名]青色事業専従者給与に関する届出手続|国税庁 (nta.go.jp)

Ⅲ.退職金の取扱い

所得税では、事業主や生計を一にする配偶者へ支給する退職金は、経費となりませんただし、次のいずれかに該当する場合は、掛金の支払額が間接的に経費として計上することができます。

Ⅰ.中小企業退職金共済へ加入し、掛金を支払う場合
→中小企業退職金共済とは、従業員を対象とした退職金制度となり、家族も従業員の立場で加入することができます。ですので、事業主が、月額5,000円から30,000円の掛金を支払った場合は、その掛金を事業主の経費として計上することができます。退職金の支給は、中小企業退職金共済から事業主ではなく、加入している従業員へ支給されます。

2.小規模企業共済へ加入し、掛金を支払う場合
→小規模企業共済とは、事業主の退職金制度となりますが、生計を一にする配偶者が事業主と共同経営者であるならば、加入することができます。月額1,000円から70,000円の掛金について、上記1.中小企業退職金共済と異なり、掛金の支払者は、事業主ではなく、生計を一にする配偶者となります。ですので、事業主がその掛金相当額を支払ったものするためには、青色事業専従者給与に関する変更届出書を提出し、掛金相当額の給与を増額させる必要がございます。退職金の支給は、小規模企業共済から業主ではなく、加入している配偶者へ支給されます。

※関連サイト
中小企業退職金共済事業本部 トップページ (taisyokukin.go.jp)
小規模企業共済|小規模企業共済(中小機構) (smrj.go.jp)

Ⅳ.まとめ

生計を一にする配偶者へ支給する給与や賞与は、①税務署へ青色事業専従者給与に関する届出書を提出する、又は、②事業専従者給与の情報を確定申告書へ記載すれば、経費計上することができますが、退職金は、加入の仕方や掛金の設定など所得規模や生計を一にする配偶者の働き方によって異なりますので、慎重に検討する必要がございます。

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