GoToトラベル事業による宿泊費やクーポン利用時の取扱いとは!?
旅行業や宿泊業などの観光産業は、新型コロナウイルスにより、甚大な影響を受けており、その観光産業の経済支援や観光地全体の消費を促すことを目的にGoToトラベル事業が実施されました。
また、10月1日より、東京都発着の旅行も追加されたことにより、最近お問い合わせが多い従業員が出張で利用したGoToトラベルによる宿泊費やクーポン利用時の取扱いについて、解説いたします。
Ⅰ. GoToトラベル事業とは
GoToトラベル事業とは、失われた旅行需要の回復や旅行中における地域の観光関連消費の喚起を図るとともに、ウィズコロナ時代における安全で安心な旅のスタイルを普及・定着させる目的で、下記旅行代金等が一部補助される制度となります。
1.国内旅行を対象に宿泊や日帰り旅行代金の35%を値引き(7月22日から開始)
2.上記1に加えて、宿泊や日帰り旅行代金の15%相当分の旅行先で使用できる地域共通クーポンを付与(10月1日から開始)
3.上記1と2の支援額は、1人1泊あたり2万円が上限(日帰り旅行は、1万円が上限)
4.連泊制限や利用回数の制限なし
※GoToトラベル事業の概要<国土交通省 観光庁>より引用
https://www.mlit.go.jp/kankocho/page01_000637.html
Ⅱ.旅行代金からの値引き額の取扱い
上記Ⅰ.1.による旅行代金の値引きの取扱いは、旅行代金の値引き処理とはならず、国からの補助金となりますので、あくまでも旅行代金の総額を費用として認識いたします。詳細な処理は、下記をご参照ください。
1.前提
①旅行代金税込み総額:33,000円/泊
②補助金額(値引き相当額):11,550円(=33,000×1/2×7割)
③旅行代金税込み支払額:21,450円(=①-②)
2.出張者との経費精算額21,450円の場合
旅費交通費30,000円/現金 21,450円
仮払消費税3,000円/雑収入11,550円
※雑収入は消費税対象外となります。
3.出張者との経費精算額33,000円の場合
旅費交通費30,000円/現金33,000円
仮払消費税3,000円/
4.旅行会社の場合
現金 21,450円/売上 30,000円
未収入金11,550円/仮受消費税3,000円
※国から入金があった場合には、下記処理となります。
現金11,550円/未収入金11,550円
Ⅲ.地域共通クーポンの取扱い
上記Ⅰ.2.による地域共通クーポン使用時の取扱いは、従業員が個人で所有する金券など現金同等物を使用したものとして処理いたします。詳細な処理は、下記をご参照ください。
1.前提
①お土産代税込み総額:3,240円(食料品購入のため軽減税率8%)
②クーポン使用額:2,000円
③お土産代現金支払額:1,240円
2.出張者との経費精算額1,240円の場合
交際費 3,000円/現金 1,240円
仮払消費税240円/雑収入2,000円
※雑収入は消費税対象外となります。
3.出張者との経費精算額3,240円の場合
交際費 3,000円/現金3,240円
仮払消費税240円/
4.お土産販売会社の場合
現金 1,240円/売上 3,000円
未収入金2,000円/仮受消費税240円
※国から入金があった場合には、下記処理となります。
現金2,000円/未収入金2,000円
Ⅳ.まとめ
地域共通クーポン使用による経費精算の処理については、判断に迷う方が少ないかと思いますが、旅行代金の値引き処理については、判断に迷う方もいるかと思います。考え方は、国からの補助金の入金となりますので、費用として認識する金額は、値引き後の金額ではなく、値引き前の総額となります。
また、今後、GoToトラベル事業の補助額など変更される可能性もあるため、会社の経理担当者は、従業員の経費精算を処理するときには、当初の金額と旅行会社などへ実際に支払った金額の両方を確認する必要がございます。
※投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。
弊事務所では、神奈川以外のエリアでも情熱をもって対応いたします。
法人・個人の税務顧問のほか、相続税・贈与税・譲渡所得税の申告といった単発のご依頼もお受けしております。
報酬につきましては、税務顧問の場合は「売上規模」「ご訪問頻度」などに応じて、単発のご依頼の場合には「財産の規模・種類」「売却価格」などに応じて設定しております。
初回のご面談・報酬のお見積りは無料です。