新型コロナウイルスの影響により、固定資産を使用停止した場合の税務上の取扱いは!?

新型コロナウイルスの影響により、製造業を行っている会社が、製造ラインを停止するなどして、稼働率が下がったため、使用を停止した製造用機械や閉鎖した店舗跡地があれば、税務上、解体や廃棄や売却による処分ではなく所有した状態で損失を計上することができます。

そこで、今回は、所有した状態で損失を計上する方法について、解説いたします。

Ⅰ.原則的な取扱い

所有している固定資産を事業で使用している場合には、時の経過により減価償却という方法で費用処理することになります。平時以外の場合の取扱いは、次の項目で説明したいと思います。

Ⅱ.例外的な取扱い(その1)

上記Ⅰと異なり、何らかの事情により稼動を休止している固定資産であっても、その休止期間中に必要な維持補修を行っておりいつでも稼動し得る状態にあるものは、時の経過により減価償却することは可能となります。

 

Ⅲ.例外的な取扱い(その2)

所有している固定資産が、何らかの事情により1年以上にわたり稼働を休止している状態にあり、その固定資産の価額が帳簿価額を下回ることとなった場合などには、評価損を計上することができます。いわゆる遊休資産の評価損となります。1年以上にわたり稼働を休止しているもののほかに、法人税法では、下記の通り規定されております。

1.災害による著しい損傷

2.本来の用途に使用できないための転用

3.所在場所の状況の著しい変化

4.過度の使用又は修理の不十分等による著しい損耗

5.償却を行っていないための償却不足額の発生

6.取得時の事情等により取得価額が同種の資産の価額に比べて高いこと

7.機械及び装置が製造方法の急速な進歩等により旧式化していることなど

 

Ⅳ.例外的な取扱い(その3)

上記Ⅲのいわゆる固定資産の評価損の他に、事業として使用することを廃止し、今後は通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産については、その固定資産の設備等の撤去や廃棄する費用が膨大で、すぐに処分できない場合には、有姿のまま除却処理を行うことができます。いわゆる有姿除却というもので、法人税では、下記の例示が挙げられております。

1.その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産

2.特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、当該製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことその後の状況等からみて明らかなもの

Ⅴ.まとめ

新型コロナウイルスによる影響で、平時のように事業として使用することができない又は今後使用する可能性がない固定資産について、評価損や有姿除却による損失を計上する場合には、客観的にみて、今後通常の方法により固定資産が使えないような状態にあることを証明できる議事録等の社内資料や現場写真等の資料を用意することをお勧めいたします。

 

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