棚卸資産の評価損~売れ残りの季節商品の取扱い
アパレル会社など季節商品を取扱う会社は、セール後の売れ残り商品を評価損にて計上できるか否か悩むことが多いと思います。
では、税務上、どのタイミングで評価損を計上すれば、よいのでしょうか。
Ⅰ.法人税法上の取扱い
法人税では、原則評価損は計上できないこととなっておりますが、例外として下記の時に評価損を計上できることと規定されております。
内国法人の有する資産につき、災害による著しい損傷により当該資産の価額がその帳簿価額を下回ることとなつたことその他の政令で定める事実が生じた場合において、その内国法人が当該資産の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額したときは、その減額した部分の金額のうち、その評価換えの直前の当該資産の帳簿価額とその評価換えをした日の属する事業年度終了の時における当該資産の価額との差額に達するまでの金額は、前項の規定にかかわらず、その評価換えをした日の属する事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。(法人税法第33条)
また、上記その他の政令で定める事実とは、下記の通りなります。
政令で定める事実は、物損等の事実(次の各号に掲げる区分に応じ当該各号に定める事実であつて、当該事実が生じたことにより当該資産の価額がその帳簿価額を下回ることとなつたものをいう。)及び法的整理の事実(更生手続における評定が行われることに準ずる特別の事実をいう。)とする。(法人税法施行令68条、法人税基本通達9-1-4及び9-1-5)
1.当該資産が災害により著しく損傷したこと。
2.当該資産が著しく陳腐化したこと。
→具体的には、以下のものとなります。
(1)いわゆる季節商品で売れ残ったものについて、今後通常の価額では販売することができないことが既往の実績その他の事情に照らして明らかであること。
(2)当該商品と用途の面ではおおむね同様のものであるが、型式、性能、品質等が著しく異なる新製品が発売されたことにより、当該商品につき今後通常の方法により販売することができないようになったこと。
3.イ又はロに準ずる特別の事実
→具体的には、以下のものとなります。
破損、型崩れ、たなざらし、品質変化等により通常の方法によって販売することができないようになったことが含まれる。
Ⅱ.まとめ
評価損を計上するためには、下記要件を満たしているか検討し、要件を満たしている場合には、評価損を計上するのがよいでしょう。
要件1:①災害により著しく損傷しているか、②著しく陳腐化しているか、③商品として同一機能を果たしているか
要件2:時価(商品の売価)が帳簿価額を下回ることとなった
要件3:損金経理により帳簿価額を減額したとき
※投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。
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