入社に伴う支度金は課税されるのか!?
新型コロナウイルスの影響により、業績が悪化する会社がある一方、テレワークをサポートする業種などの会社では、業績が好調な会社もございます。
業績が好調な会社の中には、少しでも優秀な人材を獲得するため、遠方からの人材確保を行うケースもあろうかと思います。
そこで、今回は、遠方の人材を獲得する場合に発生する可能性がある入社に伴う支度金について、解説いたします。
Ⅰ.支度金の税務上の取扱い
入社に伴う支度金として想定できる場合とは、主に下記の通りかと思いますので、それぞれに区分して税務上の取扱いを解説いたします。
1.やむを得ず転居が必要な場合
入社に伴って業務上、やむを得ず転居が必要な場合に支給される支度金は、その転居費用として通常必要と認められる部分の金額は、所得税法上、非課税(給与課税ではなく旅費交通費などの費用)となります。ですので、転居費用としてお手盛りにならないよう規定を整備する必要がございます。
2.転居に関わらず一律支給する場合
引越しの距離や引越しの有無に関係なく支給される支度金は、入社前は雇用関係がないため、給与課税とはならず、入社という契約に伴う一時金として源泉徴収(雑所得課税)することになります。
なお、源泉徴収の計算は、支給額のうち100万円以下の部分については10.21%、支給額のうち100万円を超える部分については20.42%の源泉徴収が必要となります。
参考のため、所得税基本通達35-1では、下記の通り定められております。
【35-1 雑所得の例示】
次に掲げるようなものに係る所得は、雑所得に該当する。
(1)法人の役員等の勤務先預け金の利子で利子所得とされないもの
(2)いわゆる学校債、組合債等の利子
(3)定期積金に係る契約又は銀行法第2条第4項《定義等》の契約に基づくいわゆる給付補填金
(4)通則法第58条第1項《還付加算金》又は地方税法第17条の4第1項《還付加算金》に規定する還付加算金
(5)土地収用法第90条の3第1項第3号《加算金の裁決》に規定する加算金及び同法第90条の4《過怠金の裁決》に規定する過怠金
(6)人格のない社団等の構成員がその構成員たる資格において当該人格のない社団等から受ける収益の分配金(いわゆる清算分配金及び脱退により受ける持分の払戻金を除く。)
(7)法人の株主等がその株主等である地位に基づき当該法人から受ける経済的な利益で、24-2により配当所得とされないもの
(8)令第183条第1項《生命保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算上控除する保険料等》、令第184条第1項《損害保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算上控除する保険料等》、令第185条《相続等に係る生命保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算》及び令第186条《相続等に係る損害保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算》の規定の適用を受ける年金
(9)役務の提供の対価が給与等とされる者が支払を受ける法第204条第1項第7号《源泉徴収義務》に掲げる契約金
(10)就職に伴う転居のための旅行の費用として支払を受ける金銭等のうち、その旅行に通常必要であると認められる範囲を超えるもの
(11)役員又は使用人が自己の職務に関連して使用者の取引先等からの贈与等により取得する金品
Ⅱ.まとめ
支度金の支給形態により、所得税が課税されない場合と課税される場合とに分かれます。
ですので、支度金の支給額については、①転居に必要な金額を実費弁済とすることや、②転居による移動距離など一般的な相場を考慮した実費弁済相当額とすることなど、事前に社内規定の整備が必要となります。
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