令和2年分の年末調整や所得税確定申告から適用される給与所得控除の変更点とは!?
前回のお役立ち情報の続きとなりますが、今年以降の年末調整や所得税確定申告で影響がある改正項目は、主に下記となります。
・所得金額調整控除の創設
・給与所得控除の見直し
・基礎控除の見直し
・ひとり親控除の創設と寡婦控除の改組
・住宅ローン控除(消費税増税後の住宅取得等への特例)
前回は、所得金額調整控除を解説しましたが、今回は、給与所得控除の見直しについて、解説いたします。
Ⅰ.給与所得控除とは
給与所得控除とは、所得税などを計算する際に給与年収から差し引かれる控除額のことを言います。その控除額が設けられている趣旨は、事業所得(継続的に自己の責任において得た利益)や不動産所得(不動産を貸し付けることにより得た利益)は、その所得を計算するため、その所得を得るために支払った費用は、経費として差し引くことができます。
一方、給与所得は、給与収入を得るために支払った費用が原則、発生しないため、下記理由から、概算経費という名目で給与所得控除として、給与収入から差し引くことができます。
1.勤労に伴う概算必要経費のため
2.給与所得は、特に税金を負担する力が乏しく、他の所得とのバランスを図るため
3.給与所得は、原則、源泉徴収が行われるため、他の所得と比較して、正確に所得や税金を把握することが可能であり、インセンティブの意味合いがあるため など
Ⅱ. 給与所得控除の変更点とは
給与所得控除の変更点は、令和2年の年末調整や所得税確定申告からは、①一律で10万円が引き下げられ、②給与所得の上限額が220万円から195万円に引き下げられております。
今回変更された趣旨は、育児や介護との両立などによる働き方の多様化や少子高齢化による生産年齢人口の減少を踏まえ、主に給与収入のみを得る働き方から、給与収入以外の収入を得る働き方へシフトさせるためとなります。
給与年収の金額 | 給与所得控除額 | |
【改正前】令和元年以前 | 【改正後】令和2年以降 | |
162.5万円以下 | 65万円 | 55万円 |
162.5万円超 180万円以下 | 収入金額×40% | 収入金額×40%-10万円 |
180万円超 360万円以下 | 収入金額×30%+18万円 | 収入金額×30%+8万円 |
360万円超 660万円以下 | 収入金額×20%+54万円 | 収入金額×20%+44万円 |
660万円超 850万円以下 | 収入金額×10%+120万円 | 収入金額×10%+110万円 |
850万円超 1,000万円以下 | 195万円 | |
1,000万円超 | 220万円 |
Ⅲ.まとめ
給与所得控除は、ふるさと納税などの他の所得控除と異なり、年末調整で完結してしまうため、着目しないところでございます。
ですので、今後は、一定の給与年収以上の方で、年間手取り額が少なくなったと思われる方は、給与所得控除の額も確認されるとよいでしょう。
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