ワーケーションやブレジャーによる旅費の取扱いは!?
新型コロナウイルス感染症の影響によって、テレワーク等の導入が進み、出張や研修後に休暇を許可する会社や、長期休暇中にテレワークを許可する会社が一定数あり、弊所の関与先様でも導入している会社がございます。
また、旅行業界など関連団体からの要請により、観光庁から仕事と休暇を組み合わせた働き方を推進する動きもございます。その動きの中で、次の造語も公表されております。
・ワーケーション:Work(仕事)とVacation(休暇)を組み合わせた造語
・ブレジャー(又はブリージャー):Business(ビジネス)とLeisure(レジャー)を組み合わせた造語
そこで、最近お問合せがありました仕事と休暇を組み合わせた場合の旅費の税務上の取扱いについて、解説いたします。
Ⅰ.基本的な取扱い
出張と休暇を組み合わせた場合の旅費の基本的な取扱いは、次の通りとなります。
1.その旅費が出張等仕事に重きを置いている場合
→あくまでも仕事をするための費用であるため、旅費交通費として、給与課税しないことになります。
※出張等仕事と休暇の割合が同程度など休暇の割合がある程度ある場合には、一部給与課税する場合もございます。
2.その旅費が休暇に重きを置いている場合
→休暇に伴う費用を負担していることになりますので、給与課税することになります。
参考のため、所得税法第9条第1項第4号、所得税基本通達9-3では、下記の通り定められております。
【所得税法第9条第1項第4号 非課税所得】
次に掲げる所得については、所得税を課さない。
四 給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、若しくは転任に伴う転居のための旅行をした場合又は就職若しくは退職をした者若しくは死亡による退職をした者の遺族がこれらに伴う転居のための旅行をした場合に、その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるもの
【所得税基本通達9-3 非課税とされる旅費の範囲】
法第9条第1項第4号の規定により非課税とされる金品は、同号に規定する旅行をした者に対して使用者等からその旅行に必要な運賃、宿泊料、移転料等の支出に充てるものとして支給される金品のうち、その旅行の目的、目的地、行路若しくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金品をいうのであるが、当該範囲内の金品に該当するかどうかの判定に当たっては、次に掲げる事項を勘案するものとする。
(1)その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。
(2)その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。
Ⅱ.出張先や研修がメインの場合の具体例
上記Ⅰ.1の出張や研修がメインの場合の主な具体例は、下記となります。
1.出張先や研修先と同じ場所で休暇を取る場合
→例えば、出発地が東京で、出張や研修先と休暇場所が沖縄県の場合には、東京と沖縄の往復の旅費は、旅費交通費として、給与課税されません。
2.出張先や研修先と異なる場所で休暇を取る場合
→例えば、出発地が東京で、出張や研修先が沖縄県那覇市で、休暇場所が石垣島の場合には、下記となります。
(1)東京と沖縄の往復の旅費は、旅費交通費として、給与課税されません。
(2)沖縄と石垣島の往復の旅費は、給与課税されます。
※関連サイト
新たな旅のスタイル_企業向け簡易版_1225ol (mlit.go.jp)
Ⅲ.まとめ
現状は、新型コロナウイルス感染症の影響で移動が制限されておりますが、ワクチン接種が進み、移動の制限が解除されれば、働き方の多様化によって、仕事と休暇をセットにする場合もございます。そのような場合の旅費の取扱いは、あくまでも仕事と休暇のどちらに重きを置いているかによって取扱いが異なるため、注意する必要がございます。
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