消費税~ポイント還元における経理処理について
軽減税率制度導入に伴い、9か月間限定でキャッシュレス決済につき、ポイント還元制度が導入されました。
その際に間違った経理処理をすると消費税額を誤って申告することとなり、後日、修正申告又は更正の請求をすることとなります。
そこで、ポイント還元時の仕訳について整理しておきましょう。
Ⅰ. ポイント還元制度の仕訳
1.ポイント還元制度の仕組み
「ポイント還元」制度とは、消費者が物品を購入した際に、その物品の種類や金額によって一定の金額がポイントとして還元される制度となります。
2019年10月からの消費税増税に伴う消費の冷え込み対策として、政府が2020年6月末まで行う政策となります。
2.ポイントの使用に関する取扱い
ポイントの使用に関する会計処理について、原則、定められた基準があるわけではありません。法人税法では「金品引換券付販売」という規定がありますが、発行者側についての規定があるのみで、使用者側については触れられていません。
そのため、今回は一般的に行われている会計処理のご紹介となります。
ポイントを使用した時点で、①ポイントという現金同等物の権利を行使したため「収入」として捉える考え方と、②ポイントの使用により物品が「値引き」されるという考え方があります。
どちらの考え方も間違いではありませんが、考え方次第で会計処理が異なりますので、注意が必要となります。
3.ポイント還元の一連の会計処理
ポイントを使用した際に「収入」として捉えるか、「値引き」として捉えるかにより会計処理が異なります。ここでは、ポイント還元についての一連の会計処理を確認します。
(1)ポイント取得時
カード決済により150,000円のテレビを購入。この取引により10,000円分のポイントが付与された場合の会計処理
(仕訳)
消耗品費150,000円/現預金150,000円
(2)ポイント使用時
カード決済により50,000円の机を購入。前回付与された10,000円分のポイントを使用し、40,000円の支払いを行った場合の会計処理
①ポイントを「収入」として捉える場合
(仕訳)
消耗品費50,000円/現預金40,000円
/雑収入10,000円
②ポイントを「値引き」として捉える場合
(仕訳)
消耗品費40,000円/現預金40,000円
※①と②のどちらの会計処理も適正な会計処理になります。②の「ポイントを値引きとして捉える場合」の方が、事務処理を省くことになります。
しかし、この取引で使用されたポイントは、前回の「テレビを購入した際に付与されたポイント」であるため、今回購入した机の値引きとして計上した場合には、机の価値を適正に表示されなくなってしまいます。
Ⅱ. 購入者側のポイント還元時の消費税の取扱い
一般的には購入者側の処理が気になるところかと思いますので、購入者側の処理をご紹介いたします。
「購入者側」の会計処理について、消費税の取扱い上、1.ポイントを「収入」として捉える場合の会計処理、2.ポイントを「値引き」として捉える場合の会計処理がございますので、領収書等を確認の上、経理処理されるのがよいでしょう。
1.ポイントを「収入」として捉えた場合の会計処理
支払額110,000円(うち消費税10,000円)、ポイントの入金5,500円
(仕訳)
消耗品費 100,000円/現預金110,000円
仮払消費税10,000円
現預金5,500円/雑収入(対象外)5,500円
2.ポイントを「値引き」として捉える場合の会計処理
支払額110,000円(うち消費税10,000円)、ポイントの入金5,500円
(仕訳)
消耗品費 95,000円/現預金104,500円
仮払消費税9,500円
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