雇用調整助成金の収入は、いつ計上するのか!?
新型コロナウイルスの影響による緊急事態宣言が解除されたことに伴い、各地方公共団体から、営業自粛要請などが緩和され、経済活動が徐々に再開しております。
また、今までの営業自粛要請などによって、事業活動に影響が出ている個人事業主や会社に対し、国や地方公共団体から様々な支援策が発表されております。
具体的には、①持続化給付金、②雇用調整助成金などの各種助成金、③日本政策金融公庫や民間の金融機関による特別の融資、④各都道府県などの行政による協力金などがございます。
そこで、前回の従業員に支払う「休業手当」と「休業補償」の税務上の取扱いの延長にある雇用調整助成金の収入の計上時期について、解説いたします。
Ⅰ.雇用調整助成金とは
雇用調整助成金とは、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業等を行い、労働者の雇用の維持を図った場合、労働者が従業員に支払った休業手当等の一部(一定の要件を満たす場合は全部)が国によって助成される制度となります。
Ⅱ.雇用調整助成金の収入の計上時期とは
雇用調整助成金の収入の計上時期は、下記の通りとなり、実際に入金した時ではなく、休業手当に対する収入として収入計上する必要があります。いわゆる費用収益対応の原則(イメージは、売上と原価の対応)となります。
1.休業、就業、職業訓練などの事実があった事業年度の収入計上
2.休業、就業、職業訓練などの事実があった事業年度で具体的な金額が確定していない場合には、その事実のあった事業年度で見積もりによる収入計上
参考のため、法人税の規定(法人税基本通達2-1-42)では、下記の通り定められております。
法人の支出する休業手当、賃金、職業訓練費等の経費を補填するために雇用保険法、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律、障害者の雇用の促進等に関する法律等の法令の規定等に基づき交付を受ける給付金等については、その給付の原因となった休業、就業、職業訓練等の事実があった日の属する事業年度終了の日においてその交付を受けるべき金額が具体的に確定していない場合であっても、その金額を見積り、当該事業年度の益金の額に算入するものとする。
(注) 法人が定年の延長、高齢者及び身体障害者の雇用等の雇用の改善を図ったこと等によりこれらの法令の規定等に基づき交付を受ける奨励金等の額については、その支給決定があった日の属する事業年度の益金の額に算入する。
Ⅲ.4月や5月に休業した場合
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言により、4月や5月に休業した場合には、下記の整理となります。ですので、5月決算法人で5月分休業手当に対する雇用調整助成金の申請を6月に行った場合には、その5月分休業手当に対する雇用調整助成金を見積もって、概算額を収入計上する必要があります。
1.4月に休業し、その4月分休業手当に対する雇用調整助成金の収入計上時期
→4月分の収入として収益計上
2.5月に休業し、その5月分休業手当に対する雇用調整助成金の収入計上時期
→5月分の収入として収益計上
Ⅳ.まとめ
雇用調整助成金は、どうしても申請することに意識がいってしまいがちですが、収入に計上する時期も大事な論点となりますので、決算期をまたぐ申請の場合には、注意する必要がございます。
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